NLPの3つの魅力
NLPの3つの魅力
2003年の決算時点では、上場企業オーナー経営者3063名で5兆3000億円の自社株を保有していたため、この四年間で上場企業オーナー経営者の自社株のマーケットは二倍近くに拡大したことになる。
このような上場企業オーナー経営者に金融機関はどのような提案をしているのだろうか。
一般的に、富裕層・超富裕層には金融商品を個別に提案するのではなく、その配分(ポートフォリオ)のあり方を提案・管理すべきといわれる。
しかし、上場企業オーナー経営者の金融資産は、実質的に運用することができない自社株がほとんどであるため、ポートフォリオ提案はほとんど意味を持たない。
彼らが求めているのは、わずかな(といっても数十億〜数百億円の)運用可能な資産のポートフォリオ提案・管理ではなく、企業統治や相続・事業承継を見据えた自社株対策に関する提案である。
以下、証券会社のプライベートバンカーが上場企業オーナー経営者の自社株対策としてどのような提案をしているかを紹介しよう。
上場企業オーナーは、自社株に関するメンテナンスを証券会社に求めてくる。
具体的には、自社株の流動化がメインになるが、子どもに移すタイミングと移し方、贈与や相続に絡めたときにどういった動き方をするのが一番いいのかという相談が多い(証券会社のPB)・上場企業オーナーの子ども世代が、1回相続をやっていたり贈与をやっていたりすると、お金を借りている場合が多いので、自社株を借り入れ、担保金を提供することで付加価値をつける。
そうすれば、銀行さんに自社株を拘束されることがない(証券会社のPB)歪んだポートフォリオを放置していることについて、ある上場企業オーナー経営者は、「事業の拡大に必死に取り組んできて、気がついたら自社株の評価額が膨らんで多額の金融資産を保有することになっていた」といっている。
彼らにとって自社株とは、個人の資産というより、自分の人生をかけて育ててきた会社そのものなのである。
上場企業オーナー経営者の資産の大半が自社株ということは、投資や高額消費のためのキャッシュ(現金)を調達する必要が出てくる。
お金持ちであるにもかかわらずローンを組む必要があるのだ。
「お金持ちが多額の借金をする」ということは、一見考えにくいかもしれないが、実際には、多くの銀行が、富裕層・超富裕層個人に自社株や不動産などの資産を担保にした融資を行っている。
最近、証券会社も自社株担保融資に積極的に取り組むようになったが、依然として融資の主役は銀行である。
銀行のプライベートバンカーは、ニーズについて次のように語っている。
自社株を担保に不動産を買うというニーズはある(外資系銀行のPB)上場企業オーナーは、リバランスを考えている人が多い。
たとえば、株を有効に使った自社株の担保の融資話をする(信託銀行のPB)上場企業オーナーが、たとえば5OO億円の資産を持っていても、99%自社株で、売るに売れないということがある。
しかし、「飛行機を買いたい」「運用したい」というニーズはあるので、「自社株を担保に1OO億円の融資を設定してくれ」と要請される。
その場合、証券よりは当然、銀行ということになる(メガバンク・グループのPB)よく考えてみれば、上場企業オーナー経営者は、企業としてメインパンクから事業資金の融資を受けているため、金融機関から「お金を借りること」に対する抵抗感は少ない。
上場企業オーナー経営者に限らず、超富裕層に対する融資は、PBサービスにおける中核サービスの1つである。
上場企業オーナー経営者は、老舗の東証1部上場企業のオーナー経営者から、の新興市場に上場したばかりの三十代、四十代のオーナー経営者まで幅が広い。
2OOO年以降に注目されたのが、起業から数年でIPO(新規株式公開)した新興企業オーナー経営者である。
そのなかでも、6本木ヒルズにオフィスや自宅を構える「ヒルズ族」は、俗にいう「ニュー・リッチ」の代表的な存在である。
W氏『マザーズ族』(K社、2007年)によれば、2006年にマザーズに上場した41社の社長の平均起業年齢は34・8歳、上場までの平均年数は創業後8・9年である。
イメージ通り、若い経営者が短期間に多額の資産を形成している。
IPOした新興企業オーナー経営者の資産規模には、大きな格差があり、全員が超富裕層というわけでもない。
SのS氏(2007年3月末決算時点で自社株の評価額は1兆64億円、個人名義のみ、以下同様)、R社のM氏(2006年21月末決算時点で同221億円)、M社のK氏(2007年3月末決算時点で同88O億円)のような富豪・大富豪もいれば、数億円から数十億円分の自社株を保有するだけの新興企業オーナー経営者もいる。
この背景には、各証券取引所が競って新興市場を開設し、証券各社がIPOの引受けビジネスを積極化したことがあげられる。
その結果、赤字企業や創業後間もない企業までもが次から次へと新規株式公開した。
しかし、それらの新興企業のなかには、業績不振や法令違反で証券市場から退出を余儀なくされた企業もある。
新興企業オーナー経営者は、上場時に、自社株の1部を売却して創業者利得を得る。
しかし、上場時に自社株の大半を放出することはめずらしく、せいぜい、数億円のキャッシュを得るということが多い。
若くて野心が強いためか、新興企業オーナー経営者は、資産運用に関心を持つと、その運用姿勢はきわめて積極的になる。
新興企業オーナー経営者を顧客に持つ証券会社のプライベートバンカーは次のように述べている。
新興企業オーナーは老舗企業オーナーと比較して、運用の許容範囲が広い。
たとえば、「ラップ口座ができるようになりました」「新興国のファンドがあります」といったことに耳を傾けるだけのふところの深さがある。
リスクについても比較的大きく取れる方が多い(証券会社のPB)2006年1月のR社ショック以降、新興市場の株価は低迷を続けた。
自社株の評価額が5分の1、1O分の1になった新興企業も多く、新興企業オーナー経営者の消費や投資は以前のようには活発ではない。
さらに、2007年に入ってからは、新興市場に上場する企業数は前年を下回っている。
しかし、新興企業オーナー経営者というのは、本来、何に対しても積極的で、従来の慣習に縛られない自由な感性を持っている。
新興企業オーナー経営者の動向を、超富裕層の全体の動向と勘違いしてはいけないが、今後の超富裕層の方向性を占う重要なセグメントであることは間違いない。
事業の拡大に最大の関心を寄せる上場企業オーナー経営者を、企業の成長段階と経営への関わり方によって、新興企業オーナー経営者、老舗企業オーナー経営者、元上場企業経営者の三つに分けて、それぞれの段階における、資産運用の関心事と金融機関へのニーズを考えてみよう。
新興企業オーナー経営者に共通する関心事は、事業の拡大である。
なかには資産運用に積極的な新興企業オーナー経営者もいるが、大半は、企業経営だけに夢中である。
以下は、新興企業オーナー経営者を担当する証券会社のプライベートバンカーの発言である。
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